川端です。今回はOPC 3Gシステムのクラックについて考えてみます。
OPC 3Gシステムは、フレームとなるコア材とその表面に築盛するレイヤリングポーセレンの熱膨張係数がマッチしているため、溶着強度が高く、繰り返しの焼成工程においてもクラックが発生可能性は低いと思います。私の経験では実験的にグレーズ完成後の修復物を一次焼成プログラムで合計14回焼成を繰り返した場合でも、クラックの発生は認められませんでした(もちろんポーセレン自体の色は悪くなりますが)。(図1)
1.コア材の厚みが不足している場合
メーカーの取扱説明書ではコア材の厚みは最低でも0.8mmを確保するように指示されており、全体的に厚みが0.5mmよりも薄くなるに従い、焼成途中におけるクラックの発生確率が高くなる傾向にあります。(図2)
(図2)フレームの厚みが薄いことによるクラック
また部分的に極端に薄い部分(0.2mm以下)がある場合にも、やはりその部分に応力が集中してクラックが生じる場合があります。(図3、図4)フレームに穴が開いてしまった場合はもちろん、同様の理由からクラックが生じるため、このようなフレームは再製作が必要であることは言うまでもありません。
(図4)応力集中におけるクラック/舌側
2.レイヤリングポーセレンの厚みが不均一(極端に厚い部分が存在する)な場合
レイヤリングポーセレン層の厚みは0.2?1.2mm程度が適切で、それ以上厚くしないことが大切です。臼歯部の咬合面などは、コア材の厚みを厚くし、レイヤリング層の厚さを調整することで、クラウン全体の強度を確保することもできるので、コア材のフレーム形態は、最終形態を再現した後、カットバック法でワックスアップを行うことが適切だと考えます。
3.コア材調整時の過熱によるマイクロクラックが起因する場合
上記1、2のようにフルクラウンのコーピング製作においては、コア材の厚さがクラックの発生に大きく関与していると考えられますが、ラミネートベニア等の場合、コア材の形態が影響しているのか、0.3mm以下に調整した場合でもクラックを生じることはありません。(図5)
(図5)ラミネートベニア
もちろんフルクラウン、ラミネートベニア、インレーなどの修復物の種類問わず、コア材を切削調整する際は、常に注水下で冷却するなど、フレームの過熱には細心の注意が必要であることを言うまでもありません。
臼歯でポストがある症例や咬合面をえぐったような症例でフレームにクラックが入ることが多くあるのですが一部だけ厚みがですぎるための応力集中なのでしょうか?
ポストなどはブロックアウトして製作すればいいのですか?
kenjiさん、川端です。コメント有難うございました。
OPC 3Gのフレームにクラックが発生するとのご質問ですが、プレス後のフレームにクラックが生じるのでしょうか?それともレイヤリング焼成時におけるクラックでしょうか?
いずれの場合でもフレームの厚みを最も薄い部分で0.8mm確保して頂ければ、ポストなどの部分的に厚い部分が存在してもクラックは生じにくいと考えます。もしよろしければ、もう少し具体的に症状をお聞かせください。
今回のケースはポストが太さ約2mm長さ0.8mmポスト部にエッジがあり、あと形成にもエッジがありました。フレームの厚みは約0.7mmでオペーシャスレイヤリング時に発生しました。ポストがあるケースで0.6mmで問題なかったケースもありますそのときは今回のケースみたいにポストが太く長くなくクラックは発生しませんでした。フレームの調整はいつも慎重にしています。0.8mmのときにもクラックが入ったこともありますその時は1.2mmにしてフレームを作成してやり直しました。咬合面をえぐったようなケースは形成面はがたがたでフレームの厚みは薄い所で0.7?0.8ミリで0.8mmに近かったのですがクラックがレイヤリング時に発生しました。同じようにやり直して3回目にこのケースはうまく行きました。
やっぱり形成などに影響されるのでしょうか?
クラックの入りやすい形成などがあれば教えてもらえないでしょうか?
川端です。kenjiさん詳しい状況をお知らせ頂き有難うございました。
レイヤリングの際のクラックですね。私の考えられる範囲では、クラックの発生が支台歯の形態に影響を受けることはあまりないと思います。ただし、支台歯形態が著しく小さく、クラウンの厚みが大きくなるようなケースにおいては、レイヤリングスペースを1mm以内の範囲で均等に設計することを厳守してください。もし、コア材の厚みが均等に0.8mm確保できていたとしてもレイヤリングが全体的、もしくは部分的にも2mmを超える部分が有る場合には、クラック発生の原因にもなりえます。レイヤリング層が厚すぎる場合はリスクが伴い、支台歯の形態不良は、コア材の厚みと形態で調整することで口腔内での耐久性も向上し、より良いオールセラミックスになるものと考えます。
ただし、kenjiさんの場合、オペーシャス焼成でクラックが発生したとのことで、この場合にはコア材に何らかの欠陥(極端に薄い部分、異物混入、マイクロクラック、etc.)が生じていたことも考えられますので、各ステップを今一度確認してみてください。
笑い話のようなことですが、意外と多いミスとして、コア材の厚みを計測する際に使用するメジャリングデバイスの狂いがあります。デバイスの先端が磨り減っているものを調整して使用していたり、モノによっては最初から狂っているものも意外と多く、是非一度確認してみてください。(私も愛用している3個のうち1個が狂っていました。)
ちなみに私の場合、大臼歯のコア材厚さは、最低1.0mmとして設計・製作しています。
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