川端です。今回は埋没材の膨張のコントロールについて考えてみたいと思います。
OPCシステムで高い精度のマージンフィットを得るためには、修復物の種類や形態、大きさなどにより埋没材の膨張をコントロールする必要があります。OPCシステム/OPC 3Gシステム専用埋没材である「ユニバーサル インベストメント」の膨張をコントロールする因子としては、混水比(W/P)、混液比(蒸留水で希釈した専用液の濃度%)、練和条件(練和方法、練和時間)、硬化時間(埋没完了から加熱開始までの時間)などを挙げることができます。
1.混液比
メーカーの指定する混水比(W/P)は、パウダー100gに対し液27mLが標準です。混水比を増減することは、埋没材自体の機械的特性(圧縮強度、通気性)を変えてしまい、リング加熱時やプレス工程におけるクラックや、プレス体への気泡の巻き込みなど、プレスミスの原因となるため避けるべきであると考えます。また、パウダーと液の使用時温度が低すぎることで硬化時間の延長や、膨張量の低下も考えられるため私のラボでは20-25℃で材料を保管・管理しています。
2.練和条件
埋没材の練和時間を同じに設定しても手練方法、真空攪拌器の種類などによっても膨張量に変化が現れます。ただし、手練和を30秒間しっかりと行い、その後機械練和(真空)を60秒間行うことで埋没材にクラックが生じていなければ、その練和条件を適正と判断し、以降常に一定の条件で練和することにより、練和条件による膨張の変化を防ぐことができます。
3.硬化時間
硬化時間も埋没材の膨張に大きく影響すると考えられます。"ユニバーサル インベストメント"を急速加熱法で加熱する場合、埋没後13分(最長15分)で埋没材を硬化させることが大切です。これよりも長く放置すると膨張が大きくなってしまうばかりか、経過時間の程度によっては埋没材のクラックにつながることがあるので注意が必要です。従って埋没完了からリング加熱開始まで時間を13分に設定することで膨張を一定に保つことができます。(硬化時間が長くなった場合は室温からゆっくり温度上昇させるオーバーナイト法を選択します)
以上3つの因子を適切な方法で常に一定に保つことで、膨張のコントロール方法を以下に述べる混液比(蒸留水で希釈した専用液の濃度%)のみに限定することができます。
混水比27mL(W/P)において、専用液27mL(濃度100%)を100%の膨張量とすると、専用液の量を減らし、蒸留水の量を増やしていくとで希釈すれば濃度が低くなり、膨張量を小さくすることができます。メーカーの指定する適切混液比は次のとおりです。
専用液の濃度を高くすると硬化膨張、加熱膨張共に大きくなります。特に硬化膨張においてはその影響が大きく、濃度を低くしていくことで、製作する修復物に適した適合を得ることが可能です。
例えばOPCシステムで外側性形態の上顎小臼歯クラウンを製作する際、濃度88.8%の混液比が良好な適合が得られた場合、上顎大臼歯部クラウンにおいては濃度88.8%以下、下顎前歯部クラウンの場合は88.8%以上の混液比を適用する必要があると考えます。すなわち、支台歯のマージン部の大きさが小さいほど膨張を大きくする必要があります。
逆に1級インレーのような完全に内側性修復物の場合、専用液濃度は55.5%と膨張を抑えます。
窩洞が小さくなるほど膨張を小さくする必要があるか?この点については簡単な実験を行った上で以降のブログで考察してみようと思います。またその実験結果を踏まえ、OM、OD、MODなどの外側性、内側性が混在する症例における埋没材の膨張コントロール方法、支台模型のリリーフ(スペーサー)の考え方、プレス後の適合調整方法のポイントについてお話したい思います。
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