こんにちは!ラジカルスペースの川端利明です。
今回はプレス作業工程における加熱温度について考えて見たいと思います。
プレス工程において、埋没材の温度、プレス時のペレットの加熱温度の設定は、プレスを成功させる上で重要な要素であることは周知のとおりです。もし、メーカー指定の温度設定を行ったにも関わらず、プレスが成功しない場合には(図1)、使用しているリングファーネス、プレスファーネスの温度校正を再考してみる必要があると思います。
まずはじめに、埋没材の加熱温度について考えてみましょう。
例えば、リングファーネスを920℃の設定に設定し、3G HSペレットを20分間加熱してみました(図2)。プランジャーの上に置かれた3G HSペレットは図のようにプランジャーと接着したものの、ペレットの計上は全く変化していません。
次にプレスファーネス(ペントロン オートプレスプラス)を使用して同じ条件で加熱したところ、自重で形状が変化する程度に餅状に溶けています(図3)。
この両者を比較すると、それぞれの機器によって同じ設定温度と係留時間でもマッフル内の温度、並びに熱カロリーに大きな開きがあることがわかると思います。この場合に構造的な見地からプレスファーネスの温度表示に信頼性が高いの言うまでもなく(この実験の前に温度校正キットによる温度校正済み)、結果からしてリングファーネスはメーター表示と炉内温度が数十度低いようであり、この結果から40℃設定温度を上げ960℃で10分間加熱したところ、図4のように餅状から蜂蜜状に溶け出していました。このことから推測すると、当ラボにおいては、リングファーネスとプレスファーネスは、10-40℃の温度差が生じているということがわかりました。
プレス工程における埋没材の加熱は重要で、このリングファーネスを使用する場合、メーカー指定の900℃にするためには40℃高い940℃に設定した結果、良好なプレス状態を維持しています。実際のプレス工程においては、リングファーネスからプレスファーネスへのリングの移動、スタート温度から加熱温度までの到達時間があるため、その間のリング内部温度の低下を免れることはできませんが、プレス温度で埋没材、プランジャー、3G HSペレットを適正温度で加熱しておくことは良好なプレス結果を得るために必要不可欠であると考えます。是非みなさんもリングファーネスのメーター表示と炉内温度の誤差を確認してみてください。
現在HSペレットでリングファーネスの温度を960℃にしてオートプレスの温度を890度で軟化時間を10分圧入時間を15分にしてプレスをしています。
なめられが連続して起こっています。何か改善点をおねがいします。
埋没材の係留時間はメーカー指定より長くすると問題は何かありますか?ペレットをいれプランジャーをいれリングファーネス戻し3分いれないと何か問題はありますか?
何かアドバイスをお願いします。
yoshiroさん、コメント有難うございます。ペントロン ジャパンの本橋です。
3G HSペレットは、従来の金属と同様にプレス温度(軟化温度)が低い場合に”なめられ(湯周不良)”が生じる場合と、その逆にプレス温度(軟化温度)が高い場合にもマージン付近に湯周不良に近似したプレス欠陥が生じる場合がございます。コメントに記載されている内容からは現時点、プレス温度の高/低どちらが起因するものか判別することができませんが、取り急ぎプレス温度が高い場合に関しましてアドバイスをさせて頂きます。yoshiroさんのご参考として頂ければ幸いです。
製造元のPentron Ceramic Incにも確認をしたところ、3G HSペレットは従来の3G ベースシェードペレット及びOPC各種ペレットと異なり適正プレス温度域が狭く、プレス温度が高いと溶解したペレットのフロー(流れ)が高くなり、プレス圧力が鋳型内に十分に伝わらず、マージン付近に形態不良(キザギザ状)が生じることがあります。
このような欠陥を避けるために次の方法をご紹介いたします。
1.プレスファーネスの温度校正を行う。
プレスファーネスの使用状況や環境等により、マッフル内温度とメーター表示温度に差異が生じている場合があります。適性なプレス温度を認識するためにも、プレスファーネスの温度校正を正確に行ってください。
2.プレス温度を5℃下げる。
現時点のプレス温度から5℃下げてプレスを実行し、プレス状況をご確認ください。HSペレットの適正軟化温度は「軟化温度が低いことが起因するなめられ寸前の温度」+5℃です。そのためフレームがなめられる寸前の温度を見極めることが重要となります。この操作につきましては取扱説明書のP6?7にも記載されておりますので、そちらもご参照ください。
3.リング内の焼却を十分に行う。
プレス操作を実行する20分前より、リングファーネス内のリングを逆さ(注入口を上にする)にし、ワックス焼却物やガス等を十分に焼却してください。この方法はメーカーの推奨する操作手順とは異なりますが、実際に導入されているお客様より、同様の欠陥発生が減少したとのご意見を頂いている方法です。
4.リング焼却温度を1000℃にする。
上記3同様にリング内の焼却を十分に行うために、リングを1000℃で30分加熱した後に900℃で20分係留してからプレス操作を行います。この方法は、ラジカルスペース 川端利明先生からご報告を受けている対処方法です。
なお、コメントに記されておりました「ペレットとプランジャーをセットした後のリングファーネス内での加熱は必要か?」とのお問合せですが、リングが十分かつ均一に加熱されていることが重要でもあり、必ず実行していただきますようお願い致します。
川端先生・・・この件に関していかがでしょうか?ご意見頂ければ幸いです。
川端です。
本文を読ませていただいた限りでは、なめられの主な原因は、軟化温度が低いのではないでしょうか?
私のラボでも、オートプレスを使用していますが現在のプレススケジュールは(100gリングの場合)軟化温度の設定は900度、軟化時間は10分、
プレス時間は13分(ただし、本数が多い場合には15分に設定しています)で、まったく問題なくプレスされています。プレス時間が長くなるほど反応層は
多くなりますが、適合などには問題はありません。
プレス温度が適正かどうかは、プランジャーへの押し湯の跳ね上がり具合を確認していただけると良いと思います。これが1.5?2.0センチを超えているようですと温度が高すぎますし、
15分プレス時間を設定しているのにもかかわらず1.5?2.0センチ以下であれば加熱温度が低いと考えられます。
良好なプレス体を得るためには、埋没材の扱いも重要なポイントです。特に最近では希釈する場合の水には精製水を使用していただくことを必須条件としております。正しい埋没作業工程につきましては
このブログで智近々に報告したいと思っています。是非、ご覧下さい。
最後に、リングファーネス内での係留の件ですが、時間が長くなったとしても特に問題は発生しないと考えています。複数のリングを連続で埋没したような場合には、鋳造ファーネス内での待機となりますが、プレス、適合ともにまったく
問題ありません。ただし、プランジャーを長く入れすぎますと、膨張しすぎてなのか、リングに挿入できなくなってしまいますので、私の場合、ペレットと同時にリングファーネスに3分間入れるだけにしています。
以上、参考にしていただけると幸いです。
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