埋没作業について考えてみよう!

 こんにちは!ラジカルスペースの川端です。

radical-defect-press.jpg
 

今回はプレスの失敗として、バリが入ってしまうことについて考えて見たい思います(図1)。

 

 バリの原因としては大きく分けて次の2つが挙げられます。

  1. 埋没材の硬化不良
  2. 埋没材加熱時の問題

 埋没材の硬化不良の原因は手練和作業の不足によるものがほとんどであると考えます。一部の手練練和機能を有する真空攪拌機を除いては、最低でも30秒の確実な手練り練和を行い、その後に60秒以上真空機械練和を行うことで解消することができます。(真空攪拌機を過信することは要注意です!)

 次に埋没材並びに専用練和液の保存管理方法も重要なポイントとなります。理想的には25℃の室温で湿度もほぼ一定であることが望ましいとされています。高温を避ける目的で専用液を冷蔵庫で保管することは避けるべきであると考えます。特に冬場は冷蔵庫内や屋外などに専用液を放置した結果、専用液が凍結してしまい、硬化後に所定の圧縮強さを維持することができなくなる場合もあるので、保管温度には十分注意が必要です。

 硬化を妨げる要因として季節的な気温の変化も見逃せません。12月1日現在、東京にある私のラボの気温計が20度の場合、保管ボックス内の専用液は約15℃、恐らく真空パックされた埋没材も同じぐらいの温度であると考えられます。室温で保管することで20℃に上げることはできるでしょうが、時間が掛かる上に20℃ではやや低い感じがします。場合によっては初期硬化が送れ、結果として効果不良、機械的強度の低下から、加熱時やプレス時のリング破壊につながるので作業温度だけでも25℃を保ちたい。そこで、これらを解消する簡単な方法の一つとして調理用電子レンジの活用をお勧めいたします。

 500Wの電子レンジを使用し、練和直前の埋没材、専用液をそれぞれ10秒間加熱することでほぼ25℃程度に加熱することができます。加熱後に手練30秒間、機械練和60秒間を行い埋没することで季節によるリスクを回避することができます。

radical-temp2.jpg

第2番目の埋没材加熱時の問題は、埋没後25分以上(メーカー指定は13分)時間が経過した場合、埋没材の破壊を招く可能性が高くなるので、急速加熱は避ける必要があるということです。もし、前述のように初期硬化不良の場合は30分以上経過してもほとんど硬化が進まないので、急速加熱やオーバーナイト法を行ってもプレス時の埋没材破壊はなくともバリの発生は避けられず、バリの発生、もしくは適合不良は避けられないと考えます。

ペレットの無駄にもなるので、プレスをあきらめて再ワックスアップすることをお勧めします。

みなさんのコメント 現在11通のコメントがあります。

【1】name: yoshi date:2007年12月 4日 21:29

ご質問がございます。

適合ですが、金属の鋳造と比べて、その差はどの程度のものでしょうか。

特に今現在問題なく使用させて頂いていますが、時々ゆるくなってしまうケースがあります。

もしよろしければ改善点などを教えて頂けませんでしょうか。
お願い致します。

【2】name: RadicalSpace date:2007年12月 6日 13:21

Yoshiさん
 川端です。書き込みありがとうございました。
 さて、適合の件ですが、OPC3GHSで外側性のパターンの場合にはほぼ金属と同じレベルまで適合させることが可能であると考えています。
 ゆるくなってしまう場合には、専用液の量を調整して、膨張を抑えるよな混液比に調整されると良いと思います。 
 ちなみに私は、前歯、小臼歯、大臼歯と支台の大きさや、支台形態によって微調整を行っています。

【3】name: yoshi date:2007年12月 6日 23:39

ご回答、ありがとうございます。

確かに、私がOPC3GHSを使用する際、混液比は前歯、小臼歯、大臼歯ともに同じ量にしていました。

再度、混液比など注意しながらやってみます。

色々と今後も研究しながら使用させて頂きます。

ありがとうございました。

【4】name: Pentron date:2007年12月 7日 16:04

yoshiさん。
 PIE管理者の本橋と申します。この度は早速PIEにコメントを頂き、誠に有難うございました。川端先生のコメントの通り、症例や支台歯形態によって埋没材の混液比をコントロールすることは有効であると考えています。
 ご参考までにOPCシステム(デンチンペレット、エナメルペレット)で良好な適合状態を維持されているお客様より臨床的な症例別混液比を伺いましたので、以下にご紹介させて頂きます。あくまでも参考値であり、練和時の環境等により適合状態は変化するとは思いますが、yoshiさんの日々臨床のご参考にお役立て頂ければ幸いでございます。

【OPC専用埋没材「ユニバーサル インベストメント」症例別混液比】
ご注意:単位はg(グラム)換算となります。mlではございませんのでご注意ください。

パウダー100gに対し
●ジャケットクラウンの場合:専用液(28.4g)+蒸留水(3.6g) 合計32.0g
●ラミネートベニアの場合:専用液(24.0)+蒸留水(8.0g) 合計32.0g
●MOインレー(小臼歯)の場合:専用液(19.0g)+蒸留水(11.0g) 合計30.0g
●MOインレー(大臼歯)の場合:専用液(19.0g)+蒸留水(11.0g) 合計30.0g
●MODインレー(小臼歯)の場合:専用液(20.0g)+蒸留水(10.0g) 合計30.0g
●MODインレー(大臼歯)の場合:専用液(20.5g)+蒸留水(9.5g) 合計30.0g
●一級インレーの場合:専用液(15.0g)+蒸留水(16.0g) 合計31.0g

※専用液は使用前によく振ってからご使用ください。
※特に冬場は硬化が遅くなるので、埋没材及び専用液・蒸留水の温度は25?26℃に保持することが重要とのことです。

【5】name: nakadc date:2008年1月21日 17:08

3G HSペレットでインレーブリッジはできますか?

【6】name: Pentron date:2008年1月21日 19:25

nakadc様コメントを頂き有難うございます。
OPC 3G HSペレットでインレーブリッジの製作ができるかとのご質問ですが、国内では適用症例をシングルクラウンに限定させていただいております。なお、製造元米国PENTRON CERAMICS INCのInstruction Manualでは、前歯部、臼歯部の3本ブリッジ(少なくとも第2小臼歯が遠心アバットメントとなるケース)を適用症例としていますが、3本ブリッジのアバットメントはフルカバーのプレパレーションを原則とし、インレーブリッジや3/4冠をアバットメントとするケースを禁忌症例として挙げています。

その他の禁忌症例としては、
1.動揺歯を含む症例
2.歯肉の著しい退縮、及び歯周病を併発している患者への適用
3.歯軋り、及びクレンチング(くいしばり)などの習癖をもつ患者への適用
4.動揺歯のスプリンティング
5.プレパレーションマニュアルに指示されている要件を満たすことができない症例への適用
6.フレームデザインの指示されている要件を満たすことがでいない症例への適用

が挙げられています。何卒御了承ください。

【7】name: nakadc date:2008年1月22日 17:10

回答有難うございました。今回インレー自体の厚みクリアランスが、しっかり有ると思われたので聞かせて頂きました。又、これからも御指導お願いします。

【8】name: 川端 date:2008年1月23日 20:48

 川端です!オールセラミックスでインレーブリッジが出来るシステムがあればいいですよね。
 私も、自分の歯の治療に応用したいです。(笑)

【9】name: ふじわら date:2008年3月26日 01:05

OPC システムのプレス完了後、埋没材がひび割れてしまうことがあります
時間や混液比はしっかり守っているつもりですが原因がわかりません。
ブログ内に示されている混液比でプレスした結果、MODインレーがかなり大きくなりました。アドバイスをお願いします。

【10】name: Pentron date:2008年4月 3日 15:19

 ラジカルスペースの川端です。埋没材のひび割れ(クラック)の件ですが、何らかの原因で埋没材の強度が低下しているものと考えます。その要因としては、

1.材料管理の状態
2.練和の状態
3.リングファーネスによるリング加熱状態

などが挙げられます。

 材料管理の問題、練和の状態が原因となる場合には、埋没後15分後にペーパーリング及びフォーマーを取り外した際に埋没材が十分に硬化しておらず、埋没材自体が柔らかく、その際の発熱も低くなります。このような場合、埋没材のもつ圧縮強度が十分に得られず、加熱工程もしくはプレス工程でクラックが生じる可能性があります。また、埋没時の混液比と混液濃度も圧縮強度低下につながりますので、今一度各工程を確認してみてください。

 リングをファーネスで加熱する際、メーカー指示では最終加熱温度900℃、係留時間45分とされていますが、OPCの場合では少々温度が低いと感じ、私のラボでは最終加熱温度を1000℃とし、45分間の係留をおこなっています(なお、この点は使用するリングファーネスの機種によっても異なるかと思います)。

 次に適合の件ですが、私自身ポーセレンインレーの適合の中で最も難しい部分だと思います。窩洞形態によっても膨張をコントロールしなければならないため、スペーサー材の塗布方法から、プレス後のインレーの調整までトータルで取り組む必要があると思います。この件につきましては、次回のブログにまとめてみたいと思いますので、ご参考にされてください。

【11】name: 川端 date:2008年4月10日 11:27

コメントNo.10(埋没材のクラックの件)に追加いたします。

OPCインレーの埋没、特に硬化膨張を抑えたいようなケースでは、混液比(専用液の濃度)を低くすることにより埋没材の硬化時間が長くなる傾向にあります。従って私のラボでは、濃度88%程度の場合は練和開始後15分、濃度を77%程度場合は2分長く17分後にリングファーネスへ投入しています。ファーネス投入のタイミングの目安は、埋没材が十分に硬化熱を発している時を見計らってください。
藤原さんのご参考となれば幸いです。

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